地球環境時代における企画調整機能 Coordinative mechanism in global environmental age

淺川賢司・青木淳弘『地球環境時代における企画調整機能』

20211117日(水)午後6時~8時半

なか区民活動センター(中区役所隣)研修室1

参加者6名(講師含む)

 

NPO法人では、飛鳥田・田村時代(1968/1978)における「企画調整機能」を解明すべく学術研究会を設置しております。外部有識者として長崎国際大学特任教授の檜槇貢氏にも加わっていただき、主たるメンバーとして淺川賢司・青木淳弘そして田口俊夫が参加しています。工学院大学の星卓志教授と横浜市立大学の鈴木伸治教授にも加わっていただき、文部科学省の科研費(科学研究費としての学術研究支援費)に応募しています。今回の公開研究会では、科研費の申請内容とそれに関係する活動状況を、淺川さんと青木さんにご説明頂きました。

 

今回特に感じたのは、公開研究会ならではの参加者の「脱線」の面白さでした。基本的には我々が取り組んでいる企画調整研究の紹介を行うはずでしたが、参加者の皆様がそれぞれに交わす語りの中から、さまざまな示唆を得られたように思いました。淺川さんも指摘されていますが、人事評価の導入によって、総合計画の策定をはじめとする長期的な見通しが困難になっているということは重要と思われます。総花的になってしまった総合計画の内実も含めて検討する必要があると考えられます。

またやはり首長との関係で、首長にもさまざまなタイプがありますが、その首長は「誰が」作り上げるのか、言い換えれば、どのような人が政策形成において首長に対してどのような情報を提供しているのかということも重要と改めて考えさせられました。これは「ブレーン」とされたりしており、(田村明さんは否定するものの)飛鳥田市政のブレーン中心主義という批判があったことも合わせて検討の余地があるように思います。そのときに重要なのは、首長とブレーンの関係だけを固定されてみるのではなくて、ブレーンと関係を持ちそうな部局、そして首長と部局との関係も合わせて、その間の相互関係をどのように位置付けるかということであるように思いました。

もうひとつ強く感じたのは、現役職員の問題意識をもっと知る必要があるということです。

まずは横浜市。そして可能であれば、同じく「企画調整的な」取り組みをしている自治体の職員の声も企画調整研究に反映できたらより良いと思われました。

今回の公開研究会で改めて思ったのは、やはり当事者のリアルな語りの持つ面白さでした。

コメント(ときどき雑談)をしていただいた皆さんの言葉もしっかり記録しておく必要があるのではないかと強く感じました。(青木淳弘)

 

さて、本日は久しぶりの対面形式ということで、リモートでは難しい深い議論ができたように私も感じました。たくさんのアドバイスを頂いたなかでいくつか例示するとなると以下のポイントが挙げられると思います。

企画調整機能については、首長に大きく影響されるという点は内部でも議論していたところですが、ハード面を行政スタッフに任せず目配りしてしまう官僚OB系の首長タイプというご指摘はあまり意識していなかった点だと思います。

また、職員の人事評価(導入?)が長期的な行政を意識させにくくなっているご指摘もあり、たしかに職員の業務遂行の思考回路に大きく影響を与えているものと思います。

高度成長期と現代とでは歳入状況も大きく異なり、それに伴い職員の自由度も多大な影響を受けていることから、当時に比べて企画や庁内調整が難しくなっているのではないか、というご指摘も検討の余地はあると思います。

さらに、事務事業のアウトソーシングで自治体職員の能力が低下しており、自治体が技術職の採用を抑制している点もそれに拍車をかけているとのご指摘もあり、現場に一番近く現場の問題に一番精通している職員から実効性のある企画のアイディアが出てこないのは構造的な問題もあるように感じました。

 

以上、頂いたコメントの羅列となってしまい恐縮ですが、企画調整研究はこれからも方法論を模索していかないと痛感いたしました。(淺川賢司)

淺川さんのプレゼ資料
科研費 研究調書プレゼン.pdf
PDFファイル 749.7 KB
青木さんのプレゼ資料
自治体企画調整機能研究.pdf
PDFファイル 627.6 KB