田村明の読書会

第4回田村明の市民論を読む

田村明『まちづくりの思想~都市とごみをめぐって~』(思想の科学107号思想の科学社PP32‐39〈1988年9月〉

 実施の場所と期日(2024年7月9日15:00~17:00横浜市役所1階横浜市市民協働推進センター

 参加者:HAN Changhee,遠藤包嗣、田口俊夫、檜槇貢

思想の科学という月刊誌の「環境破壊と<現代>」という特集テーマ全体での「都市とごみ」に関するインタビュー内容が今回の論稿。

ごみ問題は市民の生活の局面と広域処理の側面があって、前者は沼津市でのゴミュニティという造語が現れるなど市民レベルでの分別回収等が動き始まっていた。後者は七大首長懇談会等によるデポジット制やリサイクルへの挑戦が始まっていたが、まだ模索の時代だった。それでも横浜市では自治体現場として高齢者施設としての浴場やプールを清掃工場に併設する動きが起きていた。子ども対応が中心で老人にまでサービスが広がらなかった時代である。

田村明はそのなかで2つの課題を提起していた。1つは中央省庁による清掃行政の縦割り行政から立地地元還元機能をもつ総合行政への転換だった。市民を味方につけると国の役人には絶対負けない。これはごみ問題だけではなく、道路、民生等も同じことだという。もう1つは都市における土地利用計画の必要性だった。まちづくりには地域に応じた「力学と技術」が必要で、「トータルに都市を考える人間がいないといけない」と自治体職員を位置づけている。

余談であるが、田村明さんから土地問題等で筆法をふるった故本間義人さん(毎日新聞編集委員、九州大学教授・法政大学教授)が自分の図書に「まちづくりの思想」という表題を使わせてほしいと頼まれたと聞かされた。その経緯を存じ上げないが、私が知っている限り本間さんはその書名を出版していない。

 

次回は167田村明: 「自治体の政策プランナー」『地方の新時代と公務員』ジュリスト増刊総合特集(有斐閣)22号pp203-209,1981.4 7月23日(月)15:00~17:00 

会場:横浜市市民活動協働推進センター(市庁舎1F)開催

(檜槇貢 2024年7月11日)